物理の勉強法

こんにちは、篠原塾でライターをしている加藤です。

今回は

「物理の成績がなかなか伸びない」

「物理への苦手意識が強い」

「物理の勉強法がよく分からない」

と悩んでいる方に向けて記事を書いていきます。

以下では

○物理の成績を上げるためのマインド

○初歩→共通テストレベルの勉強法

○共通テストレベル→二次試験レベルの勉強法

○二次試験レベル→東大や東工大の応用レベルの勉強法

の4点についてお話しします。

この記事を書いている僕は、

現役北大生で浪人して京大A判定を10回とった経験があります。

現役時代に大の苦手だった物理は偏差値40から70安定まで上げました。

物理が苦手な人の気持ちは誰よりも分かります。できるだけ参考になる記事を書きました。では見ていきましょう。

1:物理は考え方で勝負が決まる

物理が苦手な人はそもそも思考回路から間違っています。

理由は、物理は解き方が決まっていないから。

物理という科目は本当に性格が悪いなと思います。

得意な人は努力せずとも成績が上がるのに、僕のように苦手な人はいくら勉強しても成績が上がりません。現役時代に学校でもらった問題集を3周したのに偏差値が60に届かなかった僕が言うのだから間違いありません(泣)。物理は勉強したからといって成績が上がるという科目ではない、という現実を知っておくことをオススメします。

以下では物理が伸びにくい人の典型的な思考回路について確認していきます。

A:解き方を覚えれば問題が解けるようになると思っている

結論、解法暗記だけでは伸びません。

これは非常に多い典型例です。巷では「問題集をとにかく3周しよう」「物理も暗記だ!」などと言っている人が多いからだと思います。これについては、実際に多大な勉強時間を費やして実験した僕からすれば大嘘です。別に問題集を3周しても成績はあまり上がりませんでした。

確かに数学や化学などでは、このような解法暗記型の勉強法も役に立ちますし僕もそれで成績が上がりました。しかし物理だけは違います。

物理の勉強で大事なのは「全ての問題を“自分なりの”統一された解き方で解く努力をすること」です。例えば、「始めにイラストを書いて視覚的に解くのが得意だ」とするなら、これから演習をするときに必ずイラストを書いて視覚的に問題を解く努力をすることです。他にも「俺は微積物理でいくぜ」と決めたのなら、演習時にできるだけ微積物理を使った解き方を試してみるべきなのです。要するに、「今回はたまたまこのやり方で解けた」という問題演習は意味がないということです。

問題を解いたらその都度「自分のやり方でこの問題を解くにはどういうアプローチが必要で、どんな流れで解くのがいいんだろう」と考えいくことが、物理の成績を上げるためのヒントになります。難関大を目指す人ほど重要になる考え方なので覚えておきましょう。

解法暗記のみでは物理が得意にはなりません。

B:細かいことへの認識が甘い

細かな部分へ意識が向かないと点がなくなります。

物理においては小さなミスが雪崩を引き起こすことがよくあります。

「物理になるとケアレスミスが多い」「いつも謎のミスをするから物理を解くのが怖い」こう感じたことがある方いませんか。

僕は受験生時代、物理の問題を解くこと自体が恐怖そのものでした。どれだけ勉強しても模試を受けるたびにケアレスミスばかり。「どうせまたケアレスミスするんだろうな」とか考えながら問題を解いては結局ミスって点数がなくなる、という経験を何度もしていました。

当時はなかなか気づかなかったのですが、これには明確な理由があります。物理では「符号」「単位」「言葉の定義」などの細かくて面倒くさいことをなおざりにすると、ケアレスミスが起こるように問題が設計されていることが多いのです。例を挙げると、「符号を逆にしたら残りの問題を全て間違った」とか「“速さ”と“速度”の違いに気付かないだけで10点も落とした」とかです。ここは普段から気をつけて演習していないと非常にミスりやすい危険なところです。模試を受けた後などは、自分がなぜケアレスミスを起こしたのかを徹底して分析してみるといいでしょう。

物理では小さな油断が命取りになります。

C:色んな先生に聞きまくる

先生は一人に絞ってください。

解き方が多種多様すぎて逆に頭が混乱します。

これは思わぬ落とし穴なのですが、複数の先生に物理を教えてもらうのはやめたほうがいいです。

先生一人一人は高校物理なんてとっくの昔に完成していて、とても頼りになる方ばかりだと思います。しかし、その各々が違う独自路線で問題にアプローチしていくんですよね。なので、素人の僕らが色んな意見を聞いてしまうと統一感がなさすぎて頭が混乱してしまいます。これでは物理の理解が遅くなる原因を作ってしまうことになります。

僕は「物理では問題へのアプローチを統一させることが大事なんだ!」と気づいた後は、必ず一人の先生のみに質問しにいくようにしました。するとある一人のプロの解き方が頭に入ってきて、「どんな問題がきてもやり方が決まってる!」と言えるようになり、自信を持って問題を解けるようになっていきました。

一人の師匠から学ぶことを強くオススメします。

以上3点が、物理が苦手な人が陥りやすい思考回路だと思います。僕もこういった考え方で日々勉強したのですが、全くと言っていいほど成績が上がりませんでした。物理で安定して成績を伸ばしたい人は、一度基礎となる考え方から見つめ直してはいかがでしょうか。

2:初歩→共通テストレベルの勉強法

まだ物理のことを分かっていない段階だからこそ、ここで手を抜くと後々後悔することになります。逆に最初のうちから丁寧な勉強を心がけると成績の伸びはスムーズになります。気を抜かずにいきましょう。物理の完全初心者が共通テストで8〜9割解けるようになるまでの道のりは以下の通りです。

A:公式や定理を理解して暗記する

B:基本的な問題集を1冊丁寧にやり切る

それぞれを具体的に説明します。

✔︎Aについて

(公式や定理を理解して暗記する)

まずはよく使う公式や定理を丁寧に理解していきましょう。物理は問題が解けると楽しいため、なんとなくの感覚で演習をしてしまう人が多いです。しかしそれでは、受験物理の上では成績の上がらない無駄な勉強に陥ってしまいます。最初のうちは泥臭くても「公式の成り立ち」とか「言葉の意味」などをそれぞれ理解していきましょう。

また、物理の考え方は初心者にとって難しいものが多いので、大事な部分は先生に聞きまくるようにしていきましょう。物理の先生は頭の中で理解が完成しているので、おそらく分かりやすい説明をしてくれると思います。一度理解してしまったら暗記してしまって大丈夫です。得体の知れない武器を使っているよりも、正体の分かっている武器を使っているときの方が自信が湧きます。

物理のベースとなる考え方を丁寧に理解しておきましょう。

✔︎Bについて

(基本的な問題集を1冊丁寧にやり切る)

武器のことが分かったら次は実践です。覚えた公式を正しく使って問題を解く練習をしていきましょう。いきなり背伸びして難しい問題集を使っても時間の無駄なので、簡単で基本的な問題集1冊を完璧にしていきましょう。

僕のオススメは『物理のエッセンス』です。難しいことは考えずに順番に問題をこなしていきます。まずは3周してみてください。共通テストレベルであればこれだけでできるようになると思います。簡単な問題を「偶然解ける」状態から「確実に解ける」状態まで仕上げていきましょう。

1冊を完璧に!

始めから物理が得意なのは天才だけです。苦手だなと感じたなら「自分は物理が苦手な人間だ」と認めて、泥臭く勉強していきましょう。丁寧な勉強を積み上げれば必ず成績が上がります。

3:共通テストレベル→二次試験レベルの勉強法

共通テストで8〜9割が取れるようになったら、次は二次試験レベルに上げていきましょう。二次試験の問題はボリュームが多めになっているので、少し難しく感じるかも知れません。たまに応用的な問題も出題されたりします。ですが、構成されている問題のほとんどは基礎が分かっていれば難なく解けてしまうものばかりです。この段階も簡単にクリアできるはずなので安心してください。やることは以下の3つです。

A:標準的な問題集を完璧にする

B:模試の解き直し

C:苦手分野をなくす

それぞれを具体的に説明しますね。

✔︎Aについて

(標準的な問題集を完璧にする)

基本的な問題集ができるようになったら、標準的な問題集を1冊決めてマスターしてみるのがいいでしょう。

「標準的」と聞くと難しいイメージを持つかもしれませんが、丁寧に解けば意外と解けてしまいます。逆に基本がしっかりしていない分野になると急に全然解けなくなるので、少しでも「まずい」と感じたら基本的な問題集に戻るようにしましょう。これまでの学習で身につけたアプローチ法を少しだけレベルの上がった問題に対して使っていくだけです。

あ、くれぐれも「偶然解けたけどまあいいか笑笑」というような勉強はしないようにしてくださいね。取り返しのつかないほど時間を無駄にすることになります。

使う問題集は『良問の風』がオススメです。僕はこれを5周しただけで偏差値65前後はいくようになりました。非常に解説がわかりやすい上、『物理のエッセンス』を使って人にとっては解法にも統一感があるので超オススメですね。

まあ問題集はなんでもいいのですが、とにかく1冊を自分なりの解き方で解き切れるようになるまで練習してみましょう。

✔︎Bについて

(模試の解き直し)

このレベルになると問題集を解き直すだけでは勿体無いです。今まで受けた模試を解き直してみましょう。これまで物理が苦手だった人は問題を解いた感覚がかなり変わっているはずです。

模試で出る問題は標準的かつ有名な問題であることが多いです。それゆえに、それぞれの分野の中核となる考え方を網羅的に復習するには最適なものになります。

また、模試は最強の自己分析ツールです。自分が「どんな問題で間違いやすいのか」「どんな状況になるとケアレスミスをしてしまうのか」を明確にしておきましょう。僕は模試を受けるたびに「苦手な分野」「ケアレスミスした状況と原因」を全て記録に残しておきました。模試ってある程度本気で受けていると思うので、ここで経験したミスは記憶に残りやすいです。以前に感じた悔しさを利用してケアレスミスを減らしていくといいでしょう。これを繰り返すとしょうもないミスで点数を落とすということが減っていくと思います。

✔︎Cについて

(苦手分野をなくす)

ある程度物理ができるようになると「苦手分野」が目立ってくると思います。この「苦手分野」は放っておくと取り返しがつかなくなります。直前期になっても苦手分野があると、極端に物理で点を稼ぐことが難しくなり総合的に不利になりがちです。早急に苦手は潰しておきましょう。

また別の見方をすれば、苦手があるのはチャンスになります。シンプルに考えて「苦手」は「伸びしろ」になります。得意分野で成績を伸ばすよりも苦手分野で成績を伸ばす方が簡単だし時間がかかりません。

「得意を伸ばす」という考え方もありますが、それは苦手がなくなった後の話です。苦手分野で失点しているうちは模試の点数が安定しにくいので、早めに苦手を克服して安定して高得点を出せる状況をつくっておきましょう。

共通テストと比べると二次試験では少し頭を捻らなければならない問題が出ます。ですが結局は基本の積み重なりになっているので、ビビらず強気に解いていけば意外と解けたりします。真面目に問題集に取り組み、安定して解けるようになるまで練習していきましょう。

4:二次試験レベル→東大や東工大の応用レベルの勉強法

結論から言うと東大、京大、東工大の物理はマジでハードです。ここまでの勉強でうまくいっていてもマスターするのにかなり時間がかかります。物理が苦手でもう入試まで時間がない人は、あまり踏み込みすぎないで他の得意科目で点数をとった方がいいと思います。

ですが、丁寧に学習に取り組めば急に最難関レベルでも点数がぐんと伸びたりします。僕は現役時代に京大opで100点中18点しか取れませんでしたが、浪人して最終的には50点ちょいくらいは取れるようになっていました。全科目の中で一番物理が苦手だった僕も、正しい勉強をした結果最難関レベルでも許容点くらいは取れるようになったというわけです。

現時点でそんな未来が見えなかったとしても勝機はあるので、根気強く勉強していきましょう。やり方はこうです。

A:得意分野を持つ

B:解き方を複数持っておく

C:過去問を研究する

(D:理論書に触れてみる)

以下で具体的に説明します。

✔︎Aについて

(得意分野を持つ)

最難関に挑戦するなら、自分なら確実に点を稼げるという得意分野を1つだけでも持っておきましょう。なぜなら得意分野は「精神安定剤」になるからです。

東大レベルになると、どれだけ勉強していても歯が立たない大問が出題されたりします。その際に得意分野がないと点数がガクッと落ちてしまいますが、もし超磨かれた得意分野があれば他の受験生よりも大きくリードすることができたりします。これは問題を解く中での自信に繋がったりします。

得意分野の決め方ですが、感覚で決めてもいいですし、これまでの模試や演習での手応えを振り返ってみてもよいでしょう。オススメは「力学」「電磁気」「熱力学」ですね。「力学」「電磁気」はほぼ確実に出題される分野なので、ここが得意な人は物理の点数が安定しがちです。また「熱力学」は比較的やり方が決まっているので、解ける人は満点も取れてしまうような分野になっています。1つの大問だけでも満点を取れてしまえば勝ちと言っていいでしょう。

得意分野を何にするか決めたら難しめの問題集を使ってその分野だけ一通り解けるようにしてみましょう。始めは難しくて苦労すると思いますが、しっかりやれば大幅にレベルが上がると思います。僕のオススメは『名門の森』ですね。これも『物理のエッセンス』『良問の風』と相性が良いので使いやすいと思います。

ここで注意していただきたいのが、「難しすぎる問題集はやらない」というところです。よく物理が得意な人が調子に乗って難しすぎる問題集をやっていたりしますが、これは個人的に時間の使い方が下手くそだなと思っています。そこまでやるなら他の科目に時間をつかって学習した方が効率的でしょう。必要なことを必要な分だけ取り組むのが最も賢いと思います。ここに注意さえすればこれまで通り問題演習するだけになります。

とにかく得意分野をまずは1つだけ用意しておきましょう。必ずあなたの助けになります。

✔︎Bについて

(解き方を複数持っておく)

このレベルになると「色んな解き方を試さないといけない問題」が出題される場合があります。例えばCの解き方でないと厳しい問題に出くわしたときに、AとBの解き方しか知らなければここでかなり苦労してしまうことになります。そうならないために、一つのタイプの問題に対して複数のアプローチ法を持っておくようにした方がいいです。

そしてそれは、「何となく解法を知っている」状態ではなく「この問題にはAとBとCの解き方が適応できて、ここではCの解き方が一番早いからCでいこう」と判断できるようになるレベルにまで仕上げておくべきです。

物理が苦手な人でもこれで点数が安定するだろうし、得意な人なら成績が爆上がりしたりします。僕は、予備校の先生は言っていた使えそうな解法は1冊のノートにまとめていました。以下のような感じです。

全てはお見せできませんが、僕は授業中に大事だなと思ったことやプリントなどに載っている便利な解き方を全部まとめていました。ここに演習時に感じたことや気づきを付け加えていくとより効果的でした。これをすることで、難しい問題にぶつかったときでもある程度解法が浮かぶようになりました。点数を安定させたい人にはオススメです。

いずれにせよ、1つの問題に対して複数のアプローチを持っておくとよいでしょう。

✔︎Cについて

(過去問を研究する)

過去問研究は赤本に載っている分だけやってよいと思います。東大、京大、東工大の物理は他の大学の問題と比べてかなり癖が強いです。特に京大については問題文が長すぎて読むだけでストレスになりますね(汗)。なので、それぞれの大学についてはしっかりと分析しないと確実に解けるようにはなりません。

過去問演習をすると決めたら意識すべきポイントは以下の6つです。

①時間配分

②問題の傾向

③配点

④ケアレスミス

⑤苦手な問題

⑥最近の傾向

これらを意識して徹底的に過去問を解いていきましょう。ここでポイントとなるのは「本番と同じように解く」というものです。間違っても「年数解くことを意識しすぎて演習が適当になってしまった」ということのないようにしましょう。現役時代の僕のようになります(泣)。

また、演習が終わった後は「問題を解いているときにどんな思考回路で解いていたかを辿ってみる」こともいいと思います。志望校の過去問となるとある程度気持ちが入ってくると思うので、本番と近い感覚で問題を解いていると思います。例えば、「この問題を解いているとき少し焦っていたなあ」とわかればその問題が苦手である可能性が高いので復習してみようって考えられるわけです。

自己分析は常に客観的に、自分を調べ尽くすつもりでやるのが鉄則です。

このように、過去問演習は高い精度で自分の状況も分かったりするのでやるに越したことはないですね。

結論、過去問は適当に解くのではなく「データを集める」という意識のもと解いていくのが正しいと思っています。

✔︎Dについて

(理論書に触れてみる)

これは正直必要ないですが、よっぽど余裕のある方は理論書に触れてみて公式の導出とかをしてみましょう。

難しい物理の問題は、有名な公式の導出で使った考え方をもとに作成されている場合があります。あとは難しい式変形とか近似のやり方なども出現するので、そこら辺の力もつきます。オススメは『理論物理への道標』とかです。

ですが、99%の受験生はやる必要がないでしょう。物理の偏差値が75を超えてしまっている人がもっと極めたい場合にやってみるのはあり。

東大、京大、東工大レベルの問題は正直めっちゃ難しいです。しかし、ここでも基礎に立ち返って「自分なりの解き方」に沿って問題を処理していく意識が大事です。結局物理はどんなに難しくても理論に基づいた学問なので、確固とした理解があれば解けるようになっています。苦労することもあると思いますが、諦めずに頑張ってみましょう。

まとめ:物理の段階別勉強法

1:物理はマインドが重要

2:初心者は公式の理解と基本問題の演習を徹底

3:二次レベルにいくなら標準を固める

4:最難関狙いなら複数の解法を覚えてひたすら過去問研究

何度も言いますが、僕は物理が大嫌いでした。ですが、どこまでも才能のなかった僕でも偏差値70くらいは取れるようになっています。物理は少し得意になっただけでガッツリ点を稼ぐことができる科目です。なので苦手な人は大損をし、得意な人はたくさん得をします。

僕は物理に苦しめられている人を救いたい!

ぜひこの記事に書いていることを実践してみて「物理で点がとれる快感」を味わってほしいと思います。

物理は苦手な人にとっては天敵のような存在です。特に独学でやるとどうしても理解が追いつかなくて、時間を無限に浪費してしまいがちな科目になっています。もし「本当に物理がわからない」「物理の演習で時間を浪費してしまう」「いくらやっても成績が上がらない」と悩んでいる方は、まずはシノハラさんの無料電話相談を頼ってみてはいかがでしょうか。LINE電話で無料電話相談ができます。

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ありがとうございました!